Seven Second Surgery / Faber Drive

cafela2007-11-18

70年代ならともかく、今のロックに精神性なんてもんはまったくないし、必要もないと思う。例えば、今、”パンク”と呼ばれているバンドの大半は、サウンドの系統とジャンル分けの便宜上、とりあえず”パンク”と呼ばれてるだけで、いわゆる本物のパンクとはまったくの別物。まぁ、これは音楽ファンならみんなわかってるか。でも、そこを捉まえて「パンク・スピリットがうんぬん・・・」と批判しても意味ないと思うんだよね。それに「お前らはパンクじゃない!」と大御所や評論家に言われて傷つきそうなのはせいぜいグリーン・デイぐらいまでで、最近のバンドはそんなことあまり気にしないんじゃないかな。80年代に産業ロックと呼ばれてしまった連中が担ってたメロディアスなロックのメインストリームが、80年代後半からはハードロックや一部のメタルに、その後はちょっとだけヘヴィ・ロックに、そして今はポップ・パンクやエモに移ってきただけ。要するに、キャッチーないいメロディーを書けるロック界の才能が今はポップ・パンクやエモと呼ばれるジャンルに集まっている、ってことなんだと思う。大事なのは曲とライヴの良さ、後はルックスぐらいで、精神性なんかハッキリ言ってどうでもいい。


と、Faber Driveなる新人バンドのデビューアルバム『Seven Second Surgery』を聞いて、そういう気持ちがますます強くなった。カナダ出身のこの4人組、おそらく”エモ”とか”メロディック・パンク”とかおそらくそういった流れで語られるんだろうけど、ここに収められているミディアム・ナンバーなんかを聞くと、これはもはや普通のポップ・ロック。でも、とにかく曲がいいから、僕としてはそれだけでOK。シングルになった「Tongue Tied」なんて、まるで”売れっ子ソングライターが書いたみたいな”完成度の高い楽曲なんだけど、僕はこの表現を100%肯定的な意味で使いたいと思う。ただ何も考えずにキャッチーで爽やかな楽曲を楽しめばいいし、楽しめない人はそれぞれが思う「本物の」ロックを聞いてればいい。それだけだ。