A Christmas Of Love / Keith Sweat

cafela2007-12-17

クリスチャンでもないし、クリスマスにさほど思い入れもない僕にとって、クリスマス・アルバムの多くは聞いていてあまり楽しいものではない。そりゃ「This Christmas」とか「My Gift To You」とか「Let It Snow」とかは大好きだけど、アルバムとなると話は別だ。大抵のクリスマス・アルバムはいわゆるスタンダード・ナンバーがほとんどだし、そういうベタなクリスマス・ソングってなんか耳にするだけでも恥ずかしいからね。よほど料理法がよくない限り、そう何度も聞き返す気にはならない。仮にどんなに好きなプロデューサーが手掛けていても、だ。数少ない例外としては、ケニー・ランキンのクリスマス・アルバムかな。これはスタンダードのカバー集ながら本当に絶品だけど、なかなかこういうアルバムには出会えるもんじゃない。


じゃぁ、こんなヤツでも楽しめる、いいクリスマス・アルバムの条件ってなんよ?と考えた時、僕が出した結論は"オリジナル・ソングを中心に構成されていること"だった。例えば、完全にオリジナル曲で固められたマイケル・フランクスの『Watching The Snow』。これはいい。そうだと言われなければ、クリスマス・アルバムだと気付かないぐらいだ。それと、毎年必ずひっぱり出してクリスマスが終わっても聴いてたりするのが、カーク・フランクリンの『Christmas』。賛美歌とかも入ってるけど、僕にとっては馴染みのない曲ばかりだし、「Silent Night」に至ってはメロディがほとんど原型を留めていないから気恥ずかしさナシに聴ける。聴き始めの頃は♪Jesus!と歌われる度に申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど、何十回とリピートしているうちに気にならなくなり、今では一緒に♪Jesusと歌えるようになってしまった。すまんな、親父。


そして、今回めでたく(僕の)クリスマス・アルバムの殿堂入りを果たしたのが、Keith Sweatによるこの1枚。実は、iTunesストアでは去年から売られていたものなんだけど、あまりの内容の良さに今年リリースされたCDも買ってしまった。収録曲は全部で9曲。HMVのサイトにある商品解説には、"誰もが知ってるスタンダード・ナンバーがズラリ!"とか書いてあるけど、これは大嘘で「The Christmas Song」とちょっとだけ引用されているスタンダード・メドレー以外はすべてオリジナルというか(おそらくは)今回が初お目見え、かつキース節全開の艶っぽい曲ばかりだ。シンガーとしてはそれほど恵まれていない彼だけに、オリジナル曲で勝負したのは正解かな。しかも、このアルバムに収められている楽曲は、いずれもメロディアスでここ数作の収録曲より断然出来がいいと思う。"キース・スウェットのアルバムに駄作なし!"と信じている僕だけど、ここ最近の彼はさすがに時代の風に煽られてちょっと停滞気味だったからね。また、唯一のスタンダードとなる「The Christmas Song」も、彼らしくヌメヌメっと歌い込まれていて素晴らしい。10月にビルボード・ライブでやった来日公演は、金欠・・・という情けない理由でパスしたんだけど、とりあえずこのアルバムがあればその後悔も少しは埋められそうだ。まぁ、のっけから♪I wanna be your Santa Claus〜なんて曲だし、ブックレットではキース様がシャンパンのボトルを前にニヤリと"LET'S CELEBRATE IN LOVE"なんてメッセージを送ってたりするから、できれば(恋人と過ごす)日本的なクリスマスのBGMとして使いたいところではあるんだけど。


それにしても、タイトルを何度も変えながらズルズルとリリースが延び続けているオリジナルのニューアルバムは一体どうなったんだろう? このクリスマス・アルバムやリークされたキーシャ・コールとのデュエット曲なんかを聴く限り、かなり期待できそうなのに。そう言えば、Baby Bashの新作にキースの曲をサンプリングして本人をフィーチャーした曲が入ってたり、MARIOが新作で「Right And A Wrong Way」をカバーしていたり、 今ちょっとしたキース・スウェット再評価の波が来てるっぽいんだけどね。