Wicked@Gershwin Theater in NYC

cafela2008-02-26

ニューヨーク旅行から帰ってきて2週間近くたった今でも、向こうで観たブロードウェイ・ミュージカル『Wicked』の衝撃が残ってる。好きなアーティストのライブでさえ、ここまで感動したことはほとんど記憶にない・・・それこそプリンスぐらいかな。以前、彼のライブを観た後は1ヶ月ぐらい彼の曲ばっか聴いてたっけ。ちょうど今もあの時みたいな感じだ。


正直言って、これまではまったくミュージカルに興味なんてなかった。前回NYCに行った11年前は5ヶ月も滞在したのに一度も観に行かなかったし、日本に『We Will Rock You』が来た時も、招待で観られるチャンスがあったにも関わらず、メンドクサイから、という理由で行かなかった。唯一、『シカゴ』の日本公演は観たいと思ったことがあるけど、それは元バックストリート・ボーイズのケヴィンが出演しているから、という不純な(?)動機で、別にミュージカル自体を観たかったわけではない(結局、その時は招待枠がないと言われて観れず仕舞い)。


そんな僕が今回、一緒に行った連れに「ミュージカルが観たい。でも、特にどれが観たいというのはない」と言われて選んだのが、ちょうど日本でも劇団四季がやっているこの『ウィキッド』。理由は、他の定番ミュージカルにほとんど興味を惹かれなかったのと、いまだに全公演ソールドアウトでかなり評価の高い作品ということ、そして、緑と黒&白でデザインされたお洒落なロゴ(サントラのジャケット)が最高に気に入ってしまったから。


というわけで、それほど積極的に観たわけじゃないんだけど、実際に観ると、これがもうとんでもなく面白かった。英語に関しては軽く落ち込むほど聴き取れなくて、細かい台詞はわからないところが多かったけど、それはさほど問題じゃない。出演者のとんでもない歌唱力といい、豪華なステージ・セットといい、派手な演出といい、まさにアメリカン・エンターテインメントの神髄!という感じ。幕が上がった直後から鳥肌立ちまくりで、危うく涙が出そうなほど感動してしまった。あれだけ歌える人がゴロゴロしてるわけだから、アメリカって国はとんでもない。


ストーリーに関しては詳しく触れないけど、簡単に言うと『オズの魔法使い』に出てくる悪い(Wicked)魔女がいかにして”悪く”なったか(つまり実際には違ったんだけど、訳あって悪くならざるをえなかった)という話。差別だったり、メディアの問題だったり、様々なメタファーが散りばめられていて、脳天気でも単純な感動作でもないのが良かった。1部、2部合わせて2時間半以上もある上、学園物の要素もコメディの要素もラブ・ストーリーの要素も全部入ってるんだけど、決して長ったらしいとも詰め込みすぎとも感じさせずにあっという間に時間が過ぎていく。ちょうど僕らが観た日は、”Kids’ Day”ということで、子供がたくさん招待されていて、カーテンコールの時、今回の主演(エルファバ役)だったStephanie J. Blockが子供たちに向かって(たしか)「どう?家でYoutube観てるより楽しいでしょ?」みたいなことを言ったのがメチャメチャ印象に残ってる。多感な頃にあんな凄いショーを観る機会があったら、確実に人生が変わりそうな気がするな。


というわけで、帰国してから速攻でサントラを購入して現在もヘヴィ・ローテーション中。さすがにCDで聴いた場合、全部の曲を飛ばさずに聴けるというわけではないけど、普通にポップスとしてもイイ曲はいくつかある。中でも最高なのは、やはり第1部のラストに歌われる劇中の最重要曲「Defying Gravity」。この曲のメロディーと前向きな歌詞は何度聴いても飽きないし、本当に元気が出る。特にエルファバが絶唱する後半の高揚感ときたらもう・・・。あと、バラードでは「I’m Not That Girl」とフィナーレ間近に歌われる「For Good」の2曲が素晴らしい。ちなみに「Defying Gravity」はハウスにしたら最高だろうなぁ、と思って調べてみたら、ちゃんとシングルも出ていてダンス・ミックスがいくつかある。ところが、iTunes Storeで視聴したら、どのバージョンも微妙な出来でガッカリ。なんでどれもこれも無理矢理1コードとかループとかに乗せちゃうんだろう。こういう曲はメロディーと同じくらい和音がキモなんだから、1つぐらい原曲のコード感を残したバージョンを作って欲しかったよ。


で、サントラでも歌ってるオリジナル・キャストのIdina Menzel(エルファバ役。最近、ニューアルバムを出したばかり)がトニー賞の授賞式で歌った「Defying Gravity」が↓下の動画なんだけど、顔が怖かったり、ちょっと音を外してたり、今回観たStephanie J. Blockのエルファバとは少し印象が違う。もちろん一番評価が高いのは、オリジナル・キャストかつトニー賞も獲ったIdinaなんだろうけど、他のキャストも含めて今回は当たりだったんじゃないかと個人的には思いたい。グリンダ役は動画にも出ているオリジナル・キャストがKristin Chenowethで、今回はAnnaleigh Ashfordという人だったけど、正直言ってAnnaleighの方が断然可愛く見えたし、スタイルも良かった。しかも、オリジナル・キャストによるサントラより、エルファバとの声のキャラクターの違いが良く出てたような・・・。ちなみに、一緒に行った連れはパンフに載っている歴代&各地のキャストが今回の出演者と違うことにいたくご不満で、あの人はもっと綺麗だったのに、あの人はもっと格好良かったのに、と文句を言っていた(苦笑)。まぁ、定価の倍額ぐらい出して頑張ったおかげで、出演者の表情はもちろん、口から飛び散るツバまでがハッキリと見えるぐらい前の席だったから、実際に観たキャストの印象が強くなるのもムリはないか。