Just Like You / Keyshia Cole

cafela2007-11-02

キーシャ・コールのデビューアルバム『The Way It Is』が日本でリリースされなかったのは、完全にレコード会社の怠慢、というか大失態だと思う。おそらく、アイテム数が多すぎてそこまで手が回らなかった、とかそんな理由なんだと思うけど、その割に、内容がそれほどでもない&本国でセールス的にコケたアーティストをプッシュしたり、なにやってんのかなぁ?なんて思うことも多いわけで。まぁ、今のR&Bファンの大半は日本盤の出る出ないなんてそれほど気にしないとは思うし、実際、Keyshia Coleという名前は輸入盤のみで着実にR&Bファンの間に浸透した。でも、結局のところ、日本盤でプロモーションしないことにはグレーゾーンにまでは広がっていかないからね。FMのラジオ・ディレクターでさえ全米チャートをチェックしない人がほとんどだから、洋楽シーンの底上げという点から見ると、本国でヒットしていて日本でもある程度売れそうな作品の日本盤がリリースされないのは非常に痛い。


で、そんなキーシャ・コールが2ndアルバム『Just Like Me』でようやく日本デビューした。ヒットした名作をスルーした挙げ句、次の駄作をプライオリティにして外す、なんてことも多い日本の洋楽業界だけど、キーシャの2ndは1stを凌ぐほどの良い出来だし、アメリカでもヒットしてるから、まぁ遅いとは言え、タイミング的には悪くない。ところが、日本盤独自のトラック・リストを見て愕然。なんじゃこりゃ!1stからヒットした曲をボーナス・トラックとして入れるのはいいとしても、なんでアルバムのど真ん中に入ってんだ?これじゃ、アルバムの構成が滅茶苦茶じゃないっすか?


もちろん、これまでもこういった例はあった。例えば、僕がすぐに思い出したのは、BLUEの2ndアルバム『One Love』。このアルバムには1stからのヒット「If You Come Back」が堂々と差し込まれ、あろうことかメディアでのプッシュ曲にもなっていた。しかも、ブルーは1stアルバムも日本盤が出てたからややこしい。ようするに、1stにも2ndにも「If You Come Back」が普通に収録されていたわけだ。まぁ、ブルーの場合、この決断が日本での人気を高めたような気がするけど、キーシャの場合はすでにR&Bファンにはお馴染みの存在だし、強引に差し込んだ曲「Love」をリード曲にするわけでもないだろうから、こんなことをしてもあまり意味がないと思うんだよね。だったら、どんなに遅くなってもいいから1stもちゃんと日本盤として出せよと。


と、ひたすら愚痴ばかり書いてきたけど、アルバム自体は本当に素晴らしい出来。1stと比べると、ミディアム〜バラードのメロディーを重視した曲が多くて、個人的にはこの路線の方が好き。冒頭の2曲こそ"ヒップホップ・ソウル"って感じの音だけど、(アメリカ盤の)Trk 3「Fallin' Out」からラストまではどっぷりと浸れるはず。特に「I Remember」は親父世代も号泣必至の名曲でしょ。キーシャの歌い方はより丁寧で、ある意味"上手く"なった。1stの時みたいに不器用な歌い回しは少なくなったけど、あの胸を掻き立てるような切ない声は変わらず。ルックスにはそれほど惹かれないけど、この声にはどうしようもなくトキめくんだよねぇ。