Frank / Amy Winehouse

cafela2007-08-26

サマソニでのブラック・アイド・ピーズのステージで、ファーギーがこんなフレーズを歌った。♪They tried to make me go to rehab. I said....すると、観客の中からちゃんと♪No, no, no〜という声が帰ってきたのだ。もちろんこれは目下大ヒットしているAmy Winehouseの曲「Rehab」の一節だけど、これに僕はちょっと驚いた。「この曲はもう日本でもここまで浸透しているのか」と。そう言えば、同じくマリン・ステージでは誰かのライブの前にSEとしてこのアルバムがかかってたな。


そんなわけで、アメリカでのブレイクに伴って、ようやく2ndアルバムの日本盤リリースが決まったエイミー・ワインハウス。もちろん注目度が上がったのは嬉しいことなんだけど、僕のように1stアルバムから絶賛してた人間としては、ちょっとだけ面白くなかったりもするわけですよ。しかも、ロック・ファンも注目してる、なんて言われると余計にね。いやまぁ、「ワシはずうっと前から注目しとったんやでぇ」なんて吠えるのがみっともないってのは僕もわかってますよ。でも、今回ばかりは言わせてください。世間では「Rehab」は2007年夏のヒット曲みたいになってるけど、あれは僕にとって2006年秋冬のヒット・ソングだ。本国イギリスでシングル・リリースされた時点のね。


でも、あくまで個人の嗜好の問題だけど、僕は今回の『Back To Black』よりも1stアルバム『Frank』の方が好きだったりする。で、今作と前作の何が違うのかと言うとバック・トラック。『Frank』の時は”70年代テイスト”で洗練されているサウンドだったのが、新作『Back To Black』ではさらに時代を溯って”50〜60年代テイスト”かつ少し泥臭くなった。そもそもエイミー姐さんの酒焼けした豪快なしゃがれ声は、メイシー・グレイなどと同様、本来の僕の好みではない。つまり、1stの時は洗練されたトラックのおかげで、アクの強い歌が上手く中和されていたんだけど、今回のアルバムだと少し渋みを強く感じてしまうわけだ。でも、なんだかんだ言いつつ『Back To Black』もUK盤が出ると同時に取り寄せて、かなり聴き込んだし、仕事でもよく使ったけども。ちなみに、この音の違いはプロデューサー云々というよりも時代の流れが大きいように思う。というのも、去年はクリスティーナ・アギレラの『Back To Basics』やアウトキャストIdlewild』といった"70年より前"の音に今のビートを合わせるのがトレンドの1つだったから。


ということで、今回のアルバムを聞いて少し合わないな、と思った人でも、ひょっとすると1stアルバムならいけるかも知れない。少なくとも1stの方がお洒落で洗練されているのは間違いない。だから、これからも僕はたぶん『Back To Black』よりも『Frank』を愛聴していくんだろうと思う。ちなみに『Frank』の中で一番僕が好きな曲は、シングル・カットもされた「Stronger Than Me」。♪You should be stronger than me. You been here 7 years longer than me. Don't you know you're supposed to be the man…なんて歌われちゃうと、男としてはちょっとチクチクしますわな。


ところで、『Back To Black』で大ブレイクしたと思われているエイミー姐さんだけど、実は1stアルバムの『Frank』もUKアルバム・チャート3位だから十分ヒットしてるんだよね。でも、その時は日本では完全無視。一度、m-floが12inchをラジオでかけてたのを聞いただけで、少なくとも周りで彼女のことを知ってる人なんてまったくいなかったなぁ。業界人でさえもね。まぁ、所属レコード会社がユニバーサルなんだから日本盤が出なかったのもしょうがない。EMIかBMGかSONYなら、1stアルバムから日本リリースされてた可能性はあったと思うけど・・・話は変わるけど、最近はジャンルを問わず「いいな」と思うと半分ぐらいがユニバーサル系列でちょっとウンザリ。まぁ、レコード会社の事情もあるだろうからあまり責めたくはないんだけど、ユニバーサルって日本盤が出る割合が低いし、たいてい遅いし、チョイスも?ってことが多い。それになんだよ、このエイミー姐さんにつけた"激女"、"女EMINEM"ってキャッチ・コピーは? 的外れ&センス悪いにもほどがあるよね。