Love & Pain / EAMON

cafela2007-01-29

一発屋」ああなんて悲しい響き。2003年にデビューしたニューヨーク・スタッテン・アイランド出身のR&Bシンガー、EAMONと書いてエイメンくん。デビューシングルの「Fuck It(I Don't Want You Back)」は、振られた彼女に対する恨み節が受けて世界中で大ヒット。イギリスを始め世界各国で本当にNO.1になり、アンサーソングがリリースされるほどの盛り上がりを見せる。しかし、この曲はあまりにも売れすぎた。


「Fuck It」がイギリスでNO.1を独走していた時、BBCのサイトでこんな投票が行われていたのを覚えている。「あなたはEAMONがONE HIT WONDERになると思いますか?」。その結果は覚えてないんだけど、要するにその段階ですでに彼は一発屋臭いと思われていたわけだ。でも、そう思った人たちに言いたい。あなた方はちゃんと彼のデビューアルバムを聴いたのか?! まったくもって個人的な意見だが、あのアルバムに捨て曲などない。あれは2004年のTOP 10に選びたいほどの名盤だ。


で、そんなエイメンのセカンド・アルバムが去年リリースされた。1stシングルはマイナー調バラードの「(How Could You)Bring Him Home」。この曲はアルバム・リリースの何ヶ月も前からラジオ・オンエアが可能となっていたにも関わらず、アメリカ、ヨーロッパのいずれでも僕が知る限りほとんどヒットしなかった。正直、僕も「アルバムからの1stシングルとしてはちょっと弱いな。ちゃんとアルバム出せるのかな」と思ったのを覚えている。ところが、、、11月になってようやくリリースされたアルバム『Love & Pain』はなかなかの出来映え。独特の歌唱法とメロディー・センスは相変わらず冴え渡っており、僕は1曲目が始まった瞬間にガッチリと掴まれてしまったのだ。


ちなみに、エイメンのお父さんはドゥワップ・グループにいたシンガーだったそうで、エイメンは自分の音楽を「Hoo-Wop」(HIP HOP + DOO WOPの造語)と称している。そう言われると、今回は前作以上にドゥワップのエッセンスを今のR&Bのセンスで仕立てたような曲が多い。特に素晴らしいのは、パーシー・フェイスによるイージーリスニングの名曲「夏の日の恋」をサンプリングした3曲目の「Elavator」。これはもう文句なしのキラーチューンで、何がなんでもこの曲をシングルカットすべきだと思う。残念ながら、彼が「一発屋」と呼ばれるのはほぼ確定してしまったようだけど、せめて僕だけでもこのアルバムを評価してあげたい。