The Chronicles Of A Bohemian Teenager / Get Cape.Wear Cape.Fly.

cafela2006-10-04

秋の空気に完璧にハマるGet Cape.Wear Cape.Fly.のメジャーデビュー・アルバム。本国イギリスでもささやかな注目を集めているぐらいで、アルバム、シングルともに辛うじてTOP 40に入ったぐらいだけど、これはセンチメンタルかつエモーショナルないいアルバムだ。個人的には、この秋の裏名盤だと言い切ってしまいたい。


やたら長い名前の「ゲット・ケイプ・ウェア・ケイプ・フライ」は、ミャンマーの血を受け継いでいるというシンガーソングライター、サム・ドックワースのソロ・ユニット。一部では“エモ・フォーク”なんて呼ばれているようで、アコースティック・ギターの弾き語りにチープな打ち込みのリズムとシンセサイザーが絡む。ジャンルとしては“インディポップ”と呼ぶのが一番しっくり来る胸キュン・サウンド。でも、このアルバムがメジャーから出ているのにはやっぱり理由があるわけで。一歩間違うとB級の宅録サウンドになるところを、ソングライティングの上手さと声量のあるヴォーカルがぐっとメジャー感を醸し出している。


中でもいい出来なのが、シングルにもなった「The Chronicles Of A Bohemian Teenager(Part1)」と「I Spy」の2曲。ただし、「The Chronicles Of A Bohemian Teenager(Part1)」に関しては、僕が以前手に入れたバージョンとこのアルバムに入っているバージョンは違っていて、どうやら再レコーディングされているみたい。基本的なアレンジは同じなんだけど、以前のバージョンでは複数のユニゾン・コーラスだったラストの♪パーラパッパパーというフレーズが、このアルバム・バージョンではサムが1人で歌っている。うーん、これだけは以前のバージョンが良かったなぁ。


何はともあれ、「自分で発見した感」も手伝って最高に気に入っているこのアーティスト。レーベルがAtlantic(日本だとワーナー)なので、日本盤が出る可能性は低そうだけど、ライブもかなりこなしているようなので、ぜひ来日して欲しい。フジロックの小さいステージが似合うと思うんだけど。