CRAZY WORLD / KENNY THOMAS

cafela2006-09-20

80年代以降、大量に登場したイギリスのポップ系男性ブルーアイド・ソウル・シンガー(&グループ)が好きだ。GEORGE MICHAELSIMPLY REDの2大巨頭を始め、THE BLOW MONKEYS、WET WET WET、CURIOSITY KILLED THE CAT、JOHNNY HATES JAZZなどの懐かしいアーティスト、最近だとBLUE、DANIEL BEDINGFIELDや売り出し中のJAMES MORRISON、それにPETER ANDRE、LEWIS TAYLOR、CHRIS BRADE、JAI・・・といった名前も絶対に忘れられない。で、そんな中の1人、KENNY THOMASが復帰ですよ。


ケニー・トーマスと言ってもどれぐらい有名なのかはわからない。オリジナル・アルバムはたったの2枚。中でもGAP BAND「OUTSTANDING」やFORCD MD’S「TENDER LOVE」のカバーが入った確か90年代初期のアルバム『VOICES』が好きでよく聴いていた。日本盤が出ていたかどうかすら覚えてないけど。。。そして、UKの某ソウル系CDショップのメルマガで新作の情報を知って胸が騒いだ。予想通りこれは名盤だ!


まずなんと言っても曲がいい。アップ・ナンバーもなかなかだけど、「DON’T COME AROUND」、ラストの「YOU’LL BE MINE」、ジョナサン・バトラーと共作した「HIM」といったミディアムは涙がちょちょぎれんばかりの名曲。そして、今回唯一のカバー曲は、早くもスタンダードになっているノラ・ジョーンズの「DON’T KNOW WHY」で、これがまた素晴らしい。これまで聞いたこの曲のカバーの中でベストの出来だと思う。


90年代のアルバムでは時代を意識したサウンドもあった彼だけど、今回のアルバムは生のリズム・セクションも使ってオーソドックスかつ丁寧に作られている印象。リック・アストリーを爽やかにしたようなヴォーカルはまったく衰えておらず、少し押さえ気味に素晴らしい歌声を聞かせてくれる。全編飛ばさずに聞ける秋の夜長向きの1枚。本当に最高だ。


最近、イギリスの男性シンガーは中道のポップスやロック寄りの曲を歌うヤツが多くて、どうにもソウル成分が足りない。ブルーアイド・ソウルは英国音楽界のお家芸みたいなものなんだから、もっと他のシンガーにも頑張ってほしいと思う。