THE ULTIMATE / LUTHER VANDROSS

cafela2006-09-18

ええと、これのどこが“パーフェクト”なんですか? ルーサー・ヴァンドロスの最新ベスト・アルバム(の日本盤)はそう言いたくなるような内容。いや、キャリアが長い上、常にヒット曲を出してきた人だから、いくらレーベルの枠を超えたとは言え、1枚組で満足のいくベスト・アルバムなんて不可能なのはわかってる。でも、昨年他界して注目度が上がっている中、このベストから彼の音楽に触れる初心者が多いことを考えるとこれはどうなんだろう。。。


問題は『パーフェクト・ベスト』と名付けられた日本盤とアメリカ盤の選曲が大きく異なっているところ。このうち日本盤だけに入ってる曲で納得がいくのは「STOP TO LOVE」とCHANGEの「SEARCHING」(JANET JACKSON「ALL FOR YOU」でサンプリングされたGLOW OF LOVEの方が良かったとは思うけど)ぐらいかなぁ。なによりも、TWISTA feat. KANYE WEST & JAMIE FOXX「SLOW JAMZ」でサンプリングされた「HOUSE IS NOT A HOME」とカーペンターズ「SUPERSTAR」の名カバー、あと「HERE AND NOW」が外れたのは痛い。せめて「ALWAYS AND FOREVER」や「BUY ME A ROSE」の代わりに「HOUSE IS NOT A HOME」と「SUPERSTAR」が入ってれば・・・。


ライナー(選曲も?)を担当した松尾潔氏も明らかに納得いってないんだろう。今回ははいつになく歯切れが悪い、というか言い訳がましくて、「ルーサーの音楽を味わい尽くすにはベスト盤よりもオリジナル・アルバム」的な表現が出てきたり、本当はこうなるはずだったという彼のコンセプトによる「幻のオリジナル選曲」が載ってたりする。まぁ、その幻のオリジナル選曲には「HOUSE IS NOT A HOME」と「SUPERSTAR」は入ってないんだけど・・・それにしても、カバーアルバム『SONGS』と最新作の『DANCE WITH MY FATHER』から3曲ずつも選ばれている今回の日本盤ベストはどうにも・・・。


そんなわけで、2曲収められた新曲(未発表曲)だけが必要な人は、リミックス・ディスクが付いた2枚組のアメリカ盤を買うのがベストだし、これが最初の1枚という人は日本盤よりアメリカ盤の方がまだいい。いやぁ、それにしても「入門しにくい」アーティストだな、ルーサーって。