The Secret Of Movin’ On / DAVID PACK

cafela2005-09-03

最近は、新譜と言えば半分以上がR&BかHIP HOP。
そんな生活を送っているわけだけど、
たまには活きのいいAORの新譜を聴きたいと思うわけで・・・
そんな中、約1ヶ月前にリリースされたのがデイヴィッド・パックの新作。


パックさんと言えば、2003年に出た『Unborn』というアルバムも素晴らしかった。
特に「The Last Time You Cry(Won't Be)」という曲は、
これまでに何回聴いたかわからないほどのお気に入り。
が、曲の出来に関しては100点だったけど、
デモ音源集ゆえ、いかんせん音質の悪い曲が多く、
アルバムとして考えると100点にはほど遠かった。


でも、今回は純粋な新作ということで、アルバムとしての完成度はバッチリ。
やっぱ最高ですよ。この人の曲と歌声は。


最高に気に入ったのは、
ハートのアン・ウィルソンと共演したタイトル曲「The Secret Of Movin' On」。
イントロで聴けるピアノのリフからしてツボ。ツボ。
あとティモシーB.シュミットをフィーチャーした「Where We Started From」も凄くイイ。
ティモシーのアルバムに入っててもおかしくないアコースティックなポップ・ソングで、
2人の声がこれほど上手くマッチするとは想像もしなかった。


で、今回のウリになっているのが2曲のセルフカバー。
まずはTAKE 6のカバーでも知られるアンブロージア時代の名曲「Biggest Part Of Me」。
ちょっとラテン風のスムース・ジャズといったアレンジになっていて、
これはこれで良い出来だと思う。


んで、もう1つのセルフカバーは同じくアンブロージアの「You're The Only Woman」。
オリジナルの完璧さ加減は「Biggest Part Of Me」を凌ぐだけに不安だったんだけど、
乾いているのに粘っこいアコースティック・グルーヴを取り入れて、
ソウル濃度の上がったいい感じのリメイク・バージョンになってる。


正直、実際に聴くまでは、セルフカバーなんていらないなあ、と思っていたんだけど、
2曲ともオリジナルのイメージを損なわずに上手くリメイクしてあるので安心した。


今回はジャズ系レーベルからのリリースということで、
全体的にスムース・ジャズ(≒フュージョン)っぽい音になっているものの、
打ち込みサウンドじゃなく全編生演奏なのは非常に嬉しい。
打ち込みベースのAORがダメとは言わないけど、
AOR系のアーティストによる打ち込みって、
現行のR&Bに慣れた耳にはツライものがあるから。


ただ、中には少しアーシーなカントリー風の曲もあったりするし、
正直言うと、もっとロックっぽい音で聴きたかった曲もある。
例えば、スティーヴ・ペリー(元ジャーニー)とやってる曲なんて、
「ここでギターソロかも〜ん!」という展開なのに来なかったりして・・・。
あと、ラストに入っているインストは、
あまりにも普通のスムース・ジャズ風でちょっとだけガッカリしたかも。
いや、別にスムーズ・ジャズは嫌いじゃないんですが、
欲を言うなら、ってことで。


なにはともあれ、非常に満足度が高いこの1枚。
ボビー・コールドウェルの最新作もこういうオーガニックなサウンドだったら、
もっと最高な出来だったかも知れないのにね。