In My Own Words / NE-YO

cafela2006-03-03

ぼぉっとしてる間に颯爽とやって来ましたよ、魔の3月が! 例によって、4月以降の仕事がどうなるかわからない!という恐ろしい状態になっておりますが、半年ごとの恒例行事だからさすがに慣れたね・・・とかいいつつ胃がチクチクと痛むのはどうしてなんだろう。。。まぁ、そんな状況でも音楽は楽しめる!ってことで、最近はeBayで買い漁ったアナログ盤を中心に聞き込む毎日ですが、新譜もガッツリとチェックしております。今回は、そんな中からニーヨのデビューアルバムをピックアップ。


最近のR&Bってバラードには良い曲が多いけどアップはイマイチだなぁ、なんて思ってたから、彼のデビュー曲「Stay」を最初に聞いた時の感動は凄かった。ビートを強調しつつも、素晴らしいメロディがある、しかも適度に抜いた絶妙のコード感!さらに、デバージの大名曲「Stay With Me」のフックまで使ってるんだから、一発でノックアウトです。デジタル音源は持ってたけど、すぐに12inchを買いに走りましたよ、ええ。そして2ndシングルになったバラードの「So Sick」がアメリカで大ブレイク。そこに、MARIOの「Let Me Love You」を始め、これまでに裏方として数々の曲を書いてきたらしい・・・尊敬するソングライターはダイアン・ウォーレンとR.ケリーらしい・・・といった前情報も到着して、激しく期待が膨む中、いよいよアルバムがリリースされたわけです。しかも、全米アルバムチャートで初登場1位は確実だそうですよ。去年のジョン・レジェンドを遥かに超える破格の大ブレイクっぷり! こりゃ、シングル・ヒットの規模以上にアルバムが待ち望まれていたんだなぁ。


でも、さすがに期待が大きすぎたのかな。統一感があって1曲も飛ばさないで聴ける反面、「Stay」や「So Sick」に匹敵する凄い曲は入ってない、というのが率直な感想。3rdシングルになる「When You're Mad」を始め、いいメロディはたくさんあるけど、どれも小粒な気がする。また、ヴォーカリストとしての彼は、個人的にはかなり好きな部類に入るものの、やや抑揚に乏しいためにアルバムを通して聴くと少しダレるのが残念。サウンド・プロダクションも手堅いし、ゲストも控えめだし、メロディと歌詞に重点を置いた作りなのはわかるんだけど、もう少し華やかさとコクが欲しかったなぁ。だから、今のところは<傑作>ではなく<佳作>って感じだな。100満点で言うと75点ぐらい。聴きやすいのは凄くいいんだけど。


アルバム・タイトルが『In My Own Words』、そしてジャケットの左端には鉛筆と、かなり書くことに拘っている彼だけど、この間『ベストヒットUSA』で流れたインタビューによれば、楽器はほとんどできないらしい。つまり、トラックがあってそこにメロディと歌詞を乗せる、もしくは頭の中に浮かんだメロディを誰かに伝えて曲を仕上げる、このどちらかの方法で曲を書くんだろう。ひょっとすると、中には歌詞だけを書いた曲があるのかも知れない。だから、R&Bのシンガーソングライターとは言っても、ジョン・レジェンドみたいに1人で完結できるタイプではないようだ。そのせいなのか、このデビューアルバムを聴く限りは、「NE-YO節」みたいな個性があまり感じられない気がする。良いアルバムなのにどこか聴き応えに欠けるのはその辺りが理由なのかも、なんて思ったり。